20世紀初頭,両大戦の深化とともに日本の入植は樺太・満洲・南洋へと拡大し,著しく増えた内地の食料需要を補完する体制を構築した.かくして成立した「日本帝国圏」はどのように資源開発を展開したのか.帝国圏とはいかなる歴史的空間として捉えられるのか.組織化と動員の拮抗を軸に,農林資源化の歴史過程を具体的に解明する.
目次
はしがき
日本帝国圏関連地図
序章 日本帝国圏の農林資源開発 −課題と構成− 野田公夫
はじめに
第一節 帝国圏農林業の役割 内地農林産物の海外依存
一.日本「内地」における農林資源開発の限界
二.内地農林産物需要の海外依存状況
三.帝国圏農林業への期待
第二節 帝国圏における農林資源開発の基本視角 二つの研究に学びつつ
一.「満洲における森林消滅(安富・深尾編『「満洲」の成立』)」を素材に
二.「朝鮮における植民地権力の緑化主義(井上編『森林破壊の歴史』)」を素材に
三.本書の視角 再生産性と現場性という立脚点
第三節 章別編成と諸論点
一.第Ⅰ部 帝国圏という視座
二.第Ⅱ部 帝国圏諸地域の農林資源開発
第Ⅰ部 日本帝国と農林資源問題
第一章 日本帝国圏における農林資源開発組織 −産業組合の比較研究− 坂根嘉弘
はじめに
第一節 日本帝国圏における産業組合の比較
第二節 樺太における産業組合
一.農林資源開発組織としての産業組合
二.樺太産業組合数の推移と組織基盤
三.組合員の職業別構成
四.樺太産業組合の経営状況
五.樺太産業組合界のリーダー
六.産業組合の不振と樺太農村社会
第三節 南洋群島における産業組合
一.南洋群島の金融事情と産業組合令
二.南洋群島産業組合の設立とその基盤
三.個別組合の経営状況
四.貸付事業
第四節 農業の発展と産業組合
おわりに
第二章 総力戦体制下における「農村人口定有」論 −『人口政策確立要綱』の人口戦略に関連して− 足立泰紀
はじめに
第一節 人口政策確立要綱における人口戦略
一.人口問題・人口政策の経緯
人口過剰論から人口不足論へ/『人口政策確立要綱』における人口思想
二.『人口政策確立要綱』企画関係者における農業人口論
農村の「人的資源の過剰と労力の不足」論/国土計画と人口増強戦略
第二節 「農業人口定有」問題をめぐって
一.「農業人口・農家割当て」論
二.「小農経営」論からの危惧
おわりに
第三章 日満間における馬資源移動 −満洲移植馬事業一九三九〜四四年− 大瀧真俊
はじめに
第一節 満洲移植馬事業の概要
一.日中戦争以前
二.「日満ニ亘ル馬政国策」
三.事業計画
四.事業実績
第二節 軍馬資源としての移植 一九三九〜四〇年
一.移植開始とその問題
二.損耗馬の多発
第三節 馬の大規模徴発による中断 一九四一〜四二年
一.戦局の変化と移植馬事業
二.北海道農法の導入
第四節 役馬資源としての移植 一九四三〜四四年
一.軍馬から役馬へ
二.日本馬の不足
おわりに
第四章 帝国圏における牛肉供給体制 −役肉兼用の制約下での食肉資源開発− 野間万里子
第一節 近代における牛肉需要動向
第二節 朝鮮牛輸移入の本格化
第三節 内地における食肉資源開発
一.肥育先進地としての滋賀県
二.滋賀県における牛肥育技術
三.県農会による肥育技術普及事業
四.肉牛の理想
第四節 肉牛としての朝鮮牛評価 畜産試験場肥育試験結果を中心に
一.供試牛について
二.飼料について
三.増体について
四.屠肉について
おわりに
第Ⅱ部 帝国圏農林資源開発の実態
第五章 戦時期華北占領地区における綿花生産と流通 白木沢旭児
はじめに
第一節 中国綿花への期待
一.統計的分析
二.日中戦争期の期待
三.一九四〇年「外交転換」後の期待
四.中国綿花の用途
第二節 中国綿花の生産・流通の実績
一.日中戦争・太平洋戦争下の生産・流通量の減少
二.食糧問題の深刻化 一九四〇年代
第三節 綿花収買機構の再編
一.日系商社の進出
二.棉産改進会系合作社
三.華北合作事業総会の設立
おわりに
第六章 「満洲」における地域資源の収奪と農業技術の導入 −北海道農法と「満洲」農業開拓民− 今井良一
はじめに
第一節 北海道農法導入以前の試験移民における地域資源の収奪
一.第一次開拓団「弥栄村」における森林資源の枯渇
二.第三次開拓団「瑞穂村」における地主化
第二節 他の開拓団および義勇隊における北海道農法の普及実態
一.満洲への北海道農法導入の経緯
二.北海道農法先進開拓団の農業経営と生活 第七次北学田開拓団を事例に
三.他の開拓団および義勇隊における北海道農法の普及実態
第三節 満洲現地農事試験場および普及員・農具の問題点
一.満洲現地農事試験場における問題点
二.普及員の問題点
普及員の数/普及員としての能力
三.農具の問題点
北海道農具の不足状況(量的問題)/農具の質的問題
第四節 農業開拓民側の問題点
一.開拓民の新農法の受け入れ能力
開拓民の農業に対する意欲の低下・喪失/開拓民の経済力の欠如/
満洲農業に不慣れな開拓民
二.開拓民のニーズ
おわりに
第七章 植民地樺太の農林資源開発と樺太の農学 −樺太庁中央試験所の技術と思想− 中山大将
はじめに
課題/帝国の農学/方法と資料/画期と構成
第一節 農林水産資源開発と拓殖体制(一九〇五年八月〜一九三七年六月)
一.水産資源
二.森林資源
三.農地資源
四.中央試験所の設置
第二節 樺太庁中央試験所の技術と樺太拓殖体制
一.農業部門
二.畜産部門
三.林業部門
四.水産部門
第三節 総力戦体制の構築(一九三七年七月〜一九四五年八月)
一.国防体制
二.中試新部門の設置
化学工業部/保健部/敷香支所
三.内地編入と孤島化
四.北方資源開発と中試の思想
第四節 樺太の資源動員と農学 むすびにかえて
一.樺太の資源開発
二.中試の技術
三.中試の思想
四.拓殖体制と総力戦体制
第八章 委任統治領南洋群島における開発過程と沖縄移民 −開発主体・地域・資源の変化に着目して− 森亜紀子
はじめに
一.背景と研究史
二.課題と方法
第一節 サイパン島・テニアン島の開発と製糖業の興隆 第Ⅰ期 一九二二〜一九三一
一.南洋興発によるサイパン島の開発
二.テニアン島の開発と製糖業の興隆
第二節 パラオ諸島・トラック諸島・ポナペ島の開発と鰹節製造業の興隆および市街地化 第Ⅱ期 一九三二〜一九三六
一.南洋興発の事業の多角化と鰹節製造業の興隆
二.南洋庁植民地区画における蔬菜・鳳梨(パイナップル)栽培の萌芽
三.商業の発達と移民のくらし
第三節 パラオ諸島の南進拠点化と群島全域における熱帯資源開発および要塞化 第Ⅲ期 一九三七〜一九四三
一.南洋群島開発計画の変容
「南洋群島開発十箇年計画」の実施/新たな開発計画の樹立/
東南アジア占領後における群島産業の位置づけ
二.新興産業の勃興と南洋庁の植民地区画事業 パラオ諸島を中心に
南洋拓殖および系列企業による熱帯資源開発事業/
南洋庁・南洋拓殖による沖縄移民の募集/南洋庁の植民地区画事業
三.南洋興発の製糖事業の変容 サイパン・テニアン・ロタ島を中心に
製糖事業地の縮小/沖縄移民の人夫化
おわりに
終章 帝国圏農林資源開発の実態と論理 野田公夫
はじめに
第一節 本書が明らかにしたこと
一.帝国という視角から(第Ⅰ部)
二.帝国圏農林資源開発の実態(第Ⅱ部)
第二節 開拓農民の存在形態 帝国圏経営と開拓民私経済:二つの論理の対抗
一.帝国圏農業資源開発をめぐる基本矛盾
二.「内地延長的生活」という言葉
三.樺太の農業開拓民 須田政美の証言
四.満洲の農業開拓民 島木健作の観察
五.農業開拓政策の根本矛盾 帝国経済的合理性vs私経済的合理性
六.南洋群島移民の独自性
第三節 一つの批判軸 上野満の「満洲」経験
一.上野満の事例的意味
二.満洲農業移民政策への批判
三.上野満の開拓地経営
四.上野の経験の例外性
第四節 日本帝国農林資源開発をめぐる諸論点
一.帝国圏諸地域の農林資源開発
二.諸アクターの能動性について とくに開拓民の寄生的性格に注目して
おわりに
あとがき
英文要約
索引
真相:专机副驾驶亲历“九一三” 本书特色 世界航空史上少有一架专机的机组有走有留。更为奇特的是,林彪专机的航迹竟然偏移到蒙古的温都尔汗!本书的难能可贵就在于独家...
细说宋代十八朝(上下册) 内容简介 宋朝是一个宽容的朝代。这一朝代国家版图并不算大,帝权也不强,但百姓生活富足,政治上较开明,是历史上少有的没有人因言获罪的年代...
《面向国际视野的大学外语教改研究》内容简介:本书为大学外语教学改革论文集,是连续两项北京市教委与在京高校共建教改项目的成果
日本史记-二 本书特色 通用名《大日本史》。是1719世纪日本诸侯水户藩编纂的汉文纪传体日本史。从上古神话记述到南北朝终结,内含本纪七十三卷,列传一百七十卷。共...
中国古代开国皇帝 本书特色 在这本以知识点为话题的《*国古代开国皇帝》中,编者力争做到图文并茂,介绍全面,语言通俗,雅俗共赏,让它可读、可赏、可藏、可赠。《*国...
史料五讲 本书特色 本书收录了齐世荣先生曾在不同时期、不同期刊上发表的文章7篇,包括正文5篇,附录2篇。内容包括谈日记、私人信函、回忆录类私人文件、小说的史料价...
《中文版AutoCAD 2012机械制图培训教程》内容简介:本书以 AutoCAD 2012 为基础,结合机械制图的特点,以机械零配件、机械设备、夹
嘉庆事典 内容简介 历时较长的朝代,均经过由盛而衰的历程,清朝也不例外,在历经康熙、雍正乃至乾隆时期的鼎盛之后,嘉庆之时,已处由盛而衰阶段。本事典所述,就是清朝...
国学基础文库--历史人物(含《甲申三百年祭》) 内容简介 本书属于郭沫若先生的史学研究著作。在书中,作者对屈原、曹植、万宝常、王安石、李自成、李言、夏完淳、鲁迅...
《中国乡村的基督教:1860—1900年江西乡村的冲突和适应》内容简介:本书以江西省为研究对象,撷取了“教案”这一晚清中国社会最为
《科学:无尽的前沿》内容简介:本书是美国科学政策的“开山之作”,使得美国迅速摆脱对于欧洲基础研究以及科研人才的依赖,成就了
《中国后浪》内容简介:这是一部由外国人写的中国年轻人生存状况的纪实作品。一个刚毕业的美国毛头小子,只身一人来中国闯荡,出没
安阳 本书特色 《安阳》是作者李济在79岁高龄时撰写的其一生中*后一部著作。原文是用英文写作的。该书堪称对殷墟10年考古史的全面总结,更是作者对中国甲骨文考古史...
正义之剑:全球追捕、审判纳粹战犯史鉴 内容简介 [编辑推荐]作者独辟蹊径之处还在于:不仅着重搜集战犯的罪证,而且本着历史唯物主义的立场,对纳粹战犯特别是其中男女...
话说中国 枪炮轰鸣下的尊严(上) 本书特色 《话说中国》是一部以当前历史学研究、考古学研究、社会学研究的新成果为底蕴,采用人们喜闻乐见的故事方式,配以*量精美文...
《中书备对》辑佚校注 本书特色 《中书备对》,是北宋毕仲衍(1040~1082年)于宋神宗元丰元年(1078年)闰正月十三日(戊子)至三年八月十日(庚子)奉命而...
中国重要考古发现 内容简介 中国历史上每个时代都有它独特的文化遗迹,反映商代青铜文化的殷墟、揭示古蜀灿烂文明的三星堆、被誉为“世界第八大奇迹”的秦始皇陵、“丝绸...
日本史记-三 本书特色 通用名《大日本史》。是1719世纪日本诸侯水户藩编纂的汉文纪传体日本史。从上古神话记述到南北朝终结,内含本纪七十三卷,列传一百七十卷。共...
东南亚的贸易时代:1450-1680-第二卷 本书特色 安东尼·瑞德编著的这本《东南亚的贸易时代--1450-1680年(第1卷)》在考察东南亚在近代早期政治、...
二战期间,被迫害的犹太人背井离乡、东躲西藏,一个个犹太家庭支离破碎。人性的光芒从未泯灭。晨涞村的彭斯神父、药剂师玛塞尔小